不動産の家族信託では名義は受託者に移りますが、贈与税はかかりますか?

家族信託(民事信託)では贈与税がかからないように信託契約を設計することが可能です。

自益信託という形をとれば、贈与税はかかりませんが、他益信託では贈与税がかかってしまう場合がありますので注意が必要です。通常は、贈与税がかからない自益信託で家族信託の設計を行うことが一般的です。

では、自益信託と他益信託の違いを具体例でご確認ください。

 

【事例1】贈与税がかからない自益信託(委託者=受益者の場合)

自分(委託者)が認知症になったときのために 

自分(受益者)のために

息子(受託者)へ不動産等の管理処分をお願いする。

 ➡自分のための信託契約なので、贈与税はかかりません

 

【事例2】贈与税がかかる他益信託(委託者≠受益者の場合) 

ご自身(委託者)が認知症になったときのために

孫(受益者)のために

息子(受託者)へ不動産等の管理処分をお願いする。

 ➡孫のためにする信託契約なので、孫に贈与税がかかります

信託契約を誰のためにするのかで、贈与税がかかるかどうかを判断します。
上記事例1のように、「自分のために」するのであれば、贈与税はかかりません。
上記事例2のように、「自分以外のために」するのであれば、受益者となる孫に贈与税がかかります。

家族信託では、名義を取得する受託者に贈与税がかかるのではなく、委託者と受益者が同じかどうかで、受益者への課税関係を考えます。したがって、家族信託の設計にあたっては、税務面の考慮もとても大切です。当事務所では、相続(資産税)に強い税理士とも連携をしておりますので、必要がある場合には、税理士とも連携をして家族信託の設計を行っています。

家族信託についてご興味がある方は、一度当弁護士事務所にご相談いただければと思います。

 

この記事の監修者

代表 坂田圭右

司法書士法人オルト

保有資格:司法書士

専門分野:相続・遺言・家族信託

所属団体:大阪司法書士会員 第2509号

簡裁訴訟代理等関係業務認定会員 第312133号

1998年年に司法書士試験に合格し、2012年に司法書士法人オルト代表に就任

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